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人材ポートフォリオについて
2026年7月23日 11:16 AM
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に加え、働き方の多様化や雇用の流動化が進み、終身雇用を前提とした従来の一律的な管理では優秀な人材の確保や定着は難しくなっています。そうした不安定な状況下で、限られた人的資本を有効活用するためには、組織に必要な人材要件を明確にし、個々の能力を把握したうえで、戦略的に配置、育成していくことが急務であり、社内の「どこに」「どのような人材が」「どれくらいいるか」を示した人材ポートフォリオによる現状把握や人事課題への対策の重要性が急速に高まっています。
人材ポートフォリオによるメリットの一つ目は、まず何より最適な人員配置ができることです。人材ポートフォリオの最も重要な目的は、社員の強みや適性を活かし、最適なポジションに配置することであり、社員それぞれの強みや弱み、キャリアの志向性を把握できるため、部署や業務の方向性に適した人材を配置することが可能となり、組織全体のパフォーマンスの向上や社員のモチベーションアップが期待できます。また、人員を無駄なく配置することができるため、結果的に人件費の削減にも繋がります。
二つ目は、組織内の人材と過不足が把握できることです。人材ポートフォリオを作るためには、アセスメントやジョブローテーションを行いながら、社員一人ひとりの適性やスキル、経験を明らかにしていく必要があるため、自ずと組織内の人材の特性が明確になります。例えば、アセスメントを行うプロセスで、それぞれの社員の考え方の特性や見落としていた能力に気づくこともあるかも知れず、人材ポートフォリオ作りは組織内の社員構成の棚卸のきっかけにもなり、さらに、組織内の社員構成が棚卸されることによって、どのようなタイプの人材が多く、どのようなタイプが不足しているのかの把握にも繋がり、「過剰なタイプを再配置する」「不足しているタイプを採用・育成する」などといった適切な対応を取ることもできます。
三つ目は、それぞれの社員に合わせたキャリア形成への支援ができることです。人材ポートフォリオによって、社員一人ひとりの強みや弱み、キャリアの志向性を把握することで、それぞれの社員に合わせたキャリアについての業務経験や教育機会を付与することが可能となり、社員のエンゲージメントの向上にも繋がります。さらに、そのプロセスで組織の方向性と社員のキャリアの志向が合致できれば、双方にとって高い相乗効果を生むことも可能となります。
人材ポートフォリオの作り方のファーストステップは、経営目標達成に必要な人的資源を客観的に可視化し、「目的を明確にする」ことです。経営戦略に基づき、自社の強みや弱みを分析して「軸」や「必要人数」を設定し、一貫性のある人材配置を検討する必要があり、経営戦略を反映しないと組織の方向性が曖昧になるため、しっかりと目標を整理したうえで作成を進めていくことがポイントとなります。
次に、事業内容や経営計画に基づき必要な人材タイプや職種を定義していきます。例えば、人材タイプの分類を「個人・組織」×「創造・運用」の2軸による4象限で行うなど、全社員を対象とし、信頼できるデータや適性検査の結果を活用した主観を排除した客観的な分類を行うことが重要であり、このプロセスを的確に行うことによって、社員一人ひとりを適切に活用して経営目標達成を目指す体制を整えることができます。
そして、人材タイプの定義と分類のプロセスを経て、理想と現状のギャップを確認していきます。各領域にどのような社員を配置すべきかを検討し、現状を可視化して人材の過不足を明らかにします。また、現在の配置だけでなく将来的な課題や成長目標を考慮し、必要な人材タイプや人数を見極めていくことで、適切な人材配置や育成計画の立案が可能となります。
最後に、現状と理想のギャップを埋めるための具体的な対策を検討します。採用や育成、配置転換などを通じてミスマッチを減らし、人材過剰の場合でも安易に削減するのではなく、それぞれの社員の特性や適性、意欲を生かす施策を講じます。また、リスキリングや異動、外部人材の活用なども視野に入れ、迅速かつ柔軟な対応をすることで競争力を強化することができます。
このように、人材ポートフォリオとは、企業が事業戦略を達成するために、どのような能力を有した人材が、どのタイミングで、どの程度必要になるかを予測し分析したものであり、昨今の「人的資本経営」への注目度が高まるにつれ、人材ポートフォリオの重要性も高まってきています。皆さんの職場では活用されていますか。
カテゴリー:要員管理
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